今回は、「吹奏楽の強豪校を辞めたい?一番大切なのは楽器の演奏が好きな気持ち」について、記事を書いてみました。
実際に強豪校にいた私が考えた、吹奏楽部を辞めたいと思ってしまう理由は以下の3つです。
- 練習が厳しい、練習時間が長い。
- 先輩・後輩の上下関係に悩む。
- 強豪校は全国大会で金賞をとって当たり前と思われていて、プレッシャーに感じてしまう。
強豪校ゆえの辛さや厳しさ、プレッシャーに挫けそうになることもあります。
でも、高校生のうちにそんな経験ができるのも、強豪校にいるからこそ。
それは実は、人生においては貴重な体験のひとつなのかもしれません。
辞めたいと思ってしまう時があったら、まずは部活から離れて休んでみても。
そして一番大切な「楽器を吹くのが好き」の気持ちを、思い出してもらえたらなと思います。
吹奏楽の強豪校を辞めたいと思う理由は?
憧れや強い意志を持って入った、吹奏楽の強豪校。
でも実際に入部してみたら、「思っていたのとは違った」「こんなはずじゃなかった」と、せっかく入部しても辞めてしまう人が少なくありません。
ではなぜ、せっかく入った強豪校の吹奏楽部を、辞めたいと思ってしまうのでしょうか。
全国大会常連の強豪校にいた私が、その理由を考えてみました。
練習時間が長い・練習がきつい
まず、最初に考えられる辞めたいと思う理由は、「練習時間が長いこと」と「練習がきついこと」です。
私の母校を例に挙げて、当時の1日を振り返ってみると、
- 朝は7時(大会前は6時)に登校して、個人で基礎練習。校内の草むしりや、さつま芋畑の水やりも。
- 3時間目の休み時間にお昼ごはんを食べて、昼休みもまるまる個人練習。
- 放課後は19時まで(大会前は22時頃まで)、各組ごとに練習(出場する大会により練習曲・練習方法が変わる)。
- 休日は9時~17時まで1日練習。1・2年生は主にマーチングの練習で、秋の全国大会までは1日中外にいることも。
こんな感じで、授業以外は、すべての時間を部活に費やしていました。
大会前になると22時頃まで練習する日もあったので、毎日ヘトヘトに。
今思うと、華やかな女子高生生活とも無縁で。
スカートも短くできなかったし(椅子に座って楽器を構える時に足を開くから)、当時ぎりぎり流行っていたルーズソックスも、もちろん禁止。
ルーズソックスは一時期憧れすら抱いてたニャー!(←歳がバレる笑)
私の母校は、吹奏楽をやっている人なら知らない人はいないと言われるほど全国屈指の強豪校、1年生の入部時は70人以上の同期がいましたが、引退するまでに10人は辞めていきました。
まず辞めていったのは、小中学校で楽器を触ったことがなかった完全な初心者。
強豪校ともなると、小学校から吹奏楽をやっている人たちが市外・県外から入学してくるので、まわりとの実力の違いに、ついていけなくなってしまったのでした。
小学校から6年間吹いていた人と、初心者との差は歴然。
残念だったけど、これはある意味仕方ないのかなぁとも思いました。
練習時間が長すぎてキツい、遊びの予定も立てられない。
周りと自分との差があり過ぎて、挫折してしまう。
強豪校ならではの理由で、辞めたいと思ってしまうのかもしれません。
私が1年生の時に特にキツいなと思ったのは、夏休みの練習でした。
それまでは土日だけだった1日練習が、夏休み中は毎日だったからです。
1年生は入部するとまず、2年生と一緒にマーチングの全国大会を目指すことに。
正面を向いたまま、縦横斜めを合わせながら行進してフォーメーションを組むのも大変なのに、マーチングはそれらを演奏しながら行います。
吹奏楽なのに、マーチングは体育会系の部活並みにキツかったです(+_+)
初めての経験に体と気持ちが追いつかなくて、帰り道に同じ中学出身の子と愚痴をこぼしなら帰っては、お互いを慰めあっていました(^_^;)
先輩・後輩の上下関係に悩まされる
これもありがちだけど、全国大会に出場するような強豪校ほど、「上下関係が厳しい」です。
強豪校ともなると、その分部員数も多くなります。
なので集団生活をまとめる為に、部長を頂点としていろいろな係があり、一人ひとりがそれぞれの役割を担っていました。
部長・副部長・セクションリーダー・パートリーダー、統制・行事・運搬・時計・会計・広報などの係があって、まるで1つの会社のように組織化されていました。
果ては金魚係、ネコ係なんてものも。ただのエサやりニャ(笑)
当然、リーダーを任せられるのは3年生なので、上下関係も厳しくなります。
けれど厳しいからこそまとまりが出来て、それが音にも表れるし、そのおかげで目上の人に対する礼儀も敬語も学んだので、社会人になってから一度も困ったことはなかったです。
でも、先輩後輩の垣根なく和気あいあいと練習したいという人には、上下関係の厳しさも辛いと感じてしまうのかもしれません。
特に2年生は、3年生と1年生の板挟みになることも。
私が2年生の時も、1年生を教えながらも3年生とのレギュラー争いがありました。
2年生でレギュラーになりたいという気持ちと、自分がレギュラーになったら、3年生の誰かが落ちてしまうのではという申し訳ない気持ち。
それらがぐちゃぐちゃになって、精神的にキツいと感じた時がありました。
全国で金賞をとるのが当たり前と思われている
最後に考えられる、辞めたいと思う理由。
それは、周りから「全国大会で金賞をとるのが当たり前」と思われていること。
強豪校に入ったからには、目指すべきは頂点の全国大会。
さらに、全国大会で金賞、もしくはグランプリをとることニャ!
辞めたい理由①と②は1・2年生に多いのに対して、③のこの理由は3年生に多いです。
強豪校としての歴史、今まで先輩達が築き上げてきた伝統を守らなければと必死になります。
特に「○年連続全国大会金賞」だとか「○年連続全国大会グランプリ」など、連覇中の場合のプレッシャーは計り知れません。
実際、私にもありました。
なぜか、大会の数週間前からお腹が痛くなることが(汗)
でも本番前のステージ袖まで行くと開き直るのか、急に笑いがこみ上げてきて止まらなくなり、最後は不審がられていたけれど(笑)
とにかく、強豪校ゆえのプレッシャーがすごかったです。
大会前にプレッシャーに負けてしまい、辞めてしまう3年生も何人かいました。
もったいないなぁと思ったけれど、本人の意思が強かったので、どうすることもできず。。
レギュラー枠は55人なのに3年生だけで60人超え、55人の中に必ず数人2年生が入るので、誰もが自分のことだけで精いっぱいでした。
一番大切なのは楽器の演奏が好きな気持ち
自分の経験や同期の様子から、せっかく入った強豪校の吹奏楽部を、辞めたいと思ってしまう理由を考えてきました。
どれが理由だったとしても、一度でも辞めようかなと思ってしまうと、気持ちは弱い方へとどんどん流れていってしまうもの。
でも辞める前にひとつ、大切なことを思い出してほしいなと思います。
一番大切なのは「楽器を吹くのが好き」な気持ち
それは、「楽器を吹くのが好き」という気持ちです。
一番最初に楽器に触れた時、初めて音を出せた時の、うれしかった気持ち。
うれしかったからもっと吹いてみよう、たくさん練習しようと思ったはず。
「練習は裏切らない」、良い言葉ニャー。
高校時代、私がいつも自分自身に言い聞かせていた言葉です。
練習した分だけ、上手くなれたから。
だから中学でも吹奏楽を続けたし、高校ではもっと上を目指そうと思いました。
練習がキツくても上下関係が厳しくても、プレッシャーに負けそうになっても。
楽器を吹くのが好きという気持ちが残っているのなら、もう少し続けてもらいたいなと思います。
強豪校として、練習が厳しいのはどうしようもないとして、
上下関係の厳しさは、自分たちが最高学年になれば解消されます(笑)
先輩に厳しくされて嫌だったなぁと思うなら、自分たちの代で少しずつ変えていけばいいのです。
そして、全国大会に出るのが当たり前だと思われているのも、強豪校ならでは。
でも全国大会に出場できたとしても、金賞をとれるかどうかは、あくまでも結果論です。
強豪校でも、銀賞や銅賞の時があります。
吹奏楽の大会はスポーツの世界と違って、出場したすべての学校に、金・銀・銅のいずれかの賞が与えられます。
ゴールを決めたら得点が入るという明確なルールもないので、審査員によっても評価が分かれるのです。
母校でも、私が1年生の時の3年生は、全国大会で銀賞でした。
3年生が悔し涙を流す中、顧問の先生は、「みんなと銀賞がとれて本当にうれしい。金賞よりも意味がある」と言って笑っていました。
本当に大事なのは、全国大会の本番まで、みんなで心をひとつにして積み上げてきた時間そのものだからです。
だから賞は、頑張ったご褒美、オマケのようなもの。
銅賞だからといって、下を向いて嘆く理由はありません。
私が強豪校の吹奏楽を辞めた理由
ここまで、強豪校の吹奏楽部に入ったのに、辞めたいと思ってしまった理由を3つ考えてきましたが、当の本人である私は、その3つのどれにも当てはまらない理由で、部活を辞めました。
その理由とは、耳の病気。
詳しく説明すると、長くなりすぎてドン引きされそうなので端折りますが、音大への推薦も決まっていたので、大事を取って、同期よりも一足先に引退することになりました。
みんな言葉では“引退”と言ってくれたけど、実質は退部=辞めたのと同じです。
それも、“吹奏楽の甲子園”と言われる聖地での、全国大会2週間前のこと。
2年生の時もレギュラーだったものの、自分の代で行くことは叶いませんでした。
副部長でもあり、ホルンのパートリーダーでもあり、1stでもあり。
それらを一度に失って、一気に無になってしまいました。
引退でも退部でも言葉が違うだけで、楽器が吹けないのは同じこと。
朝から夕方まで、昼休みでも楽器の音が鳴り響く校舎で、自分の居場所がなくなってしまった気がしました。
そこからみんなが引退するまでの約2ヶ月の間、毎日のように強く思ったのは。
楽器を吹けていいな、それだけでした。
時にはサボっても休んでもいい
辞めたいと思ってしまう人は、わりと真面目な人に多いようです。
いつも「サボるなんて、とんでもない!」と思っているような。
1分1秒ですらもったいないと練習に打ちこむような人が、ある日突然、糸が切れたかのようにやる気がなくなってしまうのを見たことがあります。
そんな時は、力を抜いてみるのも良いのではないかと。
そう、時にはサボってみるのもアリだと思います^^
逆に、普段やる気があるのかないのかよく分からない人ほど、要領良く影でしっかりとサボっていて、口では辞めたいと言いながらも、なんだかんだで引退まで残っている気がします。
だから一度力を抜いて、1日くらいサボってみてもいい。
もっと言うなら、休部という手もありますね。
辞めたいのに辞められない、どうしたらいいのか分からず悩み続けているのなら、一度きっちり休んでみてもいいと思うのです。
少し離れてみて、気持ちが傾いた方に進めばいい。
大人だって、人間関係に悩んで会社を辞める人がいる世の中。
子どもだって、同じように人間関係で悩んでいるのなら、部活を辞めるという選択肢もあると思います。
ただそれでも、「楽器を吹くのが好き」という気持ちが残っているのなら。
そこはすぐに決断せず、じっくりと考えてみてください。
辞めてしまってから、後悔することになるかもしれないので。
もし今、吹奏楽を辞めようか続けようか悩んでいる人がいるのなら。
ひとりで考え込まず、仲間や家族に相談してみてくださいね。
そしてゆっくりと、自分にとっての答えを出してもらたらと思います^^
どちらの道を選んだとしても、自分で出した答えに後悔しないように。
まとめ
今回は、「吹奏楽の強豪校を辞めたい?一番大切なのは楽器の演奏が好きな気持ち」について、記事を書いてみました。
実際に強豪校にいた私が考えた、吹奏楽部を辞めたいと思ってしまう理由は以下の3つです。
- 練習が厳しい、練習時間が長い。
- 先輩・後輩の上下関係に悩む。
- 強豪校は全国大会で金賞を取って当然と思われていて、プレッシャーに感じてしまう。
強豪校ゆえの辛さや厳しさ、プレッシャーに挫けそうになることもあります。
でも、高校生のうちにそんな経験ができるのも、強豪校にいるからこそ。
それは実は、人生においては貴重な体験のひとつなのかもしれません。
20年以上経った今振り返ってみても、あんなにひたむきに過ごした3年間は他にはなかったです。
だからもし、辞めようかなと悩んでしまう時があったなら。
「楽器を吹くのが好き」な気持ちを大切にして、自分の選んだ道を歩いて行ってもらえたらと思います^^
コメント