今回は「吹奏楽を通して学んだこと、強豪校新入部員へ送る心からのエール!」について、記事を書いてみました。
全国大会常連の強豪校に通っていた私が、吹奏楽を通して学んだことは、大きく分けて4つです。
- 音楽面で学んだことは、「美しい音を出すには環境を美しく整えること」、「ハーモニーディレクターを使った妥協しないチューニング」、「カチカチで音符の長さを正確に捉えること」の3つ。
- 音楽以外で学んだことは、「レギュラー争いの厳しさ」、「日々の練習や楽器の運搬、コンサートの進行まで徹底した時間への意識」、「先輩や目上の方への礼儀やマナー」の3つ。
- 全国大会での「ゴールド金賞」「グランプリ」は、日々の厳しい練習が実を結んだ最高のご褒美であること。
- 金賞やグランプリがオマケだと思えるほど、家族よりも一緒に過ごした仲間との3年間は、かけがえのない一生モノの宝物であること。
小中学校で吹奏楽をやっていたからこそ、さらに上を目指したい!
強豪校に入って、全国大会で金賞をとりたい!
私もそうだったので、この気持ちはよくわかります!
でも、強豪校に入部した理由はずばり「全国大会で金賞をとりたい!」だったのに、実際に金賞をとってみたら、私にとっては金賞もグランプリもオマケでした。
吹奏楽を通して学んだこと、私にとっての一番は、一生モノの仲間ができたことです。
これからの3年間で、きっとあなたにもたくさんの仲間ができるはず^^
強豪校に入学したあなたへ心からエールを送ると共に、吹奏楽を通して学んだ私の体験談をお話していきますね。
吹奏楽を通して音楽面で学んだこと
待ちに待った新学期がスタート。
憧れの強豪校に入学して「自分も、この吹奏楽部の一員になったんだ!」と、ドキドキしているでしょうね(´∀`*)
そう、吹奏楽の強豪校に入学を決めたからには、それなりの覚悟があったはずです。
強豪校なんだから、練習が厳しいのなんて当たり前!
上下関係が厳しいのも覚悟の上だよ!
うんうん、確かにその通り!
かつて母校に入学する前は、私もそう思っていて。
練習も上下関係も厳しいのは承知の上で入部したので、ある程度想像はしていたけど、想像通りだったこともあれば、そうでなかったこともたくさんありました。
吹奏楽を通して学んだこと、初めに音楽面から3つ紹介します。
- 美しい音を出すには、環境を美しく整えること。
- 合奏前には必ず、ひとりずつハーモニーディレクターでチューニングすること。
- 「カチカチ」で、1つ1つの音を正確に捉えること。
入部したばかりの頃、特に『美しい音を出すには、環境を美しく整えること』には、ここまでするんだ!とかなり驚きました。
美しい音を出すには環境を美しく
母校には、部訓があります。
母校の部訓は「美しい音を出すには環境を美しく整える」こと!
通常の練習時間の場合でも、朝は7時から、そしてお昼休み、放課後は19時まで、高校の敷地内では、あちこちから楽器の音が鳴り響いています。
一般の生徒もたくさんいるのに、お昼休みの練習ももはや当たり前(;´∀`)
だから母校の吹奏楽部員は、常に「学校という場所を借りて練習させてもらっている」と考えています。
その感謝の気持ちを表す為に、学校中を綺麗にするのです。
朝はパートごとに交代で、敷地内の草むしり。
もちろん、3年生だってやります。 偉ぶって下級生に押しつけたりしません!(笑)
時には1~3年生まで部員全員で外に出て、2~3時間学校の敷地内の草むしりをするなんて日もありました。
放課後の練習が終わった後は、使用した教室の掃除。
「使ったなら当たり前でしょ」と思うでしょうが、ただゴミを拾って終わりではありません。
ゴミ拾いの後、机の脚の角を床の木目に合わせて、ビシッとまっすぐに並べます。
時計係がタイマーで時間を計っている中、制服への着替え、楽器や譜面台の片付けをして、音楽室へ戻る間の10分以内に教室の掃除までを終わらせます。
最後にみんなが音楽室へ集合する時だって、廊下を小走りで移動しながら、隅っこに落ちた小さな紙クズだって見逃しません。
母校にまつわる、エピソードといえば。
顧問の先生が通りがかった廊下にちょうど爪楊枝が落ちていて、「爪楊枝1つで学校が崩れる、部活が崩れる」という名言(?)も生まれました(;´∀`)
これほどまでに徹底して校内を綺麗にすることで、学校への恩返しをします。
これが、「美しい音を出すには環境を美しく整える」ということ。
練習場所である学校という環境をまず整えることで、美しい音を出せるようになるのです。
もし何かに集中したいと思った時に部屋がとっ散らかっていたら、やる気が出ませんよね?
吹奏楽に関係なく、誰にでもどんなことにでも当てはまると思います。
そうつまりは、当たり前のことなのです^^
ひとりひとり妥協しないチューニング
母校では、合奏前のチューニングにチューナーは使いません。
チューナーは、個人やパート練習の時に使うもの。
合奏前のチューニングには、ハーモニーディレクターというキーボードを使います。
- セクションリーダーが出すハーモニーディレクターの音を聴きながら、自分の音がぴったりと合うまでロングトーン。
- パートごとに分かれて複数音ずつ、大体ひとりにつき15~20秒。必ず全員が行ってから合奏する。
部員数が多いのですごく時間がかかるけど、みんなで音合わせ(合奏)するのだから当然です。
よくありがちな、チューナーでB♭の音だけをチューニングしても、あまり意味がありません。
確かにチューナーの針が真ん中にくれば、ピッチは合ったことになります。
でも、目で見たチューナーの目盛りに合わせて音を出すことに意識が向いてしまっているので、逆に言ってしまうと、チューナーがなければ、音を合わせられなくなってしまうのです。
大会本番も、チューナー持参で演奏OKならそれでも良いかもしれないけど、NGですよね。
自分の音を聴いて合わせるからこそ、耳が肥えていきます。
自分の音を合わせられるようになると、パート内でも合わせられるようになります。
特にホルンパートは、純正調で和音を合わせる練習をたくさんします。
耳を鍛える為に大切なのは、まず自分の音を良く聴くこと。
それができるようになると、自分以外の音のピッチも、当たり前に分かるように^^
積み重ねが必要だけど、続けていれば必ずできるようになります!
部員数が多いからこそ、ひとりひとりの音を合わせるトレーニングは必須です。
妥協しない徹底したチューニング、これも強豪校では当然なのです。
1つ1つの音を正確に捉えるカチカチ
『カチカチ』はシンプルで簡単だけど、1つ1つの音符の長さを正確に捉える為の練習法!
この言葉を聞くと昔の記憶が蘇り、「うわぁ~…」と思ってしまう自分がいます(;´∀`)
だって、ものすごーく眠くなるんだもの。
- カチカチの由来は、メトロノームの振り子が左右に揺れるカチッカチッという音から。
- カチカチとは、通常の『♩(4分音符)』の長さを、4倍にして吹くこと。楽譜に『4分音符=120』と書いてあれば、『16分音符=120』のテンポでとる。
- 譜面上のスタッカートやスラーなど音楽記号はすべて無視して吹き、音符本来の長さを正しく認識する。
単純に考えて曲の長さも4倍、5分の曲なら20分かかる計算に。
カチカチは、音符本来の長さを正しく認識する為に、テンポを4倍にして吹く練習法です。
ではなぜ『カチカチ』と聞くと、「うわぁ~…」となるのか。
本来ホルンは、和音で他の管楽器どうしを繋ぐ役割がある楽器。
そうつまり、譜面全体に全音符が多いのです。
カチカチ時のホルンは、ひたすらロングトーンを吹いている状態に。。
大事なんですよー、ホルンの全音符。
ホルンの4パート(1st、2nd、3rd、4th)の和音で、音の層を作るのだから。
「すごーく地味だけど、大事な仕事をしてるぞ!」と、吹いていても感じるし。
だけど、全音符も音の長さが4倍になるから・・・1曲が異様に長ーく感じるのです(+_+)
そんな地味だけど「愛すべきカタツムリ」ホルンについては、下記のページで詳しく紹介しています。
これを読んで、ホルンに興味を持ってもらえたらうれしいです^^
「ホルンは本当にメロディーがないよなぁ、地味だよなぁ、淋しいなぁ」と思いながら吹いていると、いつの間にか睡魔が押し寄せてくることも(;´∀`)
休みの小節は「1と2と3と4と」と、休符を数えるのが決まり。
全音符を伸ばしているうちに、他のパートから聞こえてくる「1と2と3と4と」がお経を唱えているように聞こえてきて、眠気のピークがやってきます(+_+)
曲の長さが4倍になり、全音符の長さに若干辟易しながら、そして時には眠気と闘いながらのカチカチ。
これが私が思わず「うわぁ~…」となってしまう理由です。
お隣さんが睡魔に負けていたら、例え先輩でも膝をくすぐったり、ちょっかいを出して起こしてあげていました(;´∀`)
まずは、譜面上にある1つ1つの音の長さを正確に捉えること、そしてどのパートがメロディーを吹いているのかなど、他パートの動きを確認すること。
この『カチカチ』は、最もシンプルで簡単にできる練習法なのです。
ここまでは、吹奏楽を通して学んだことを音楽面で3つ紹介しました。
強豪校ならではの「1つ1つの音へのこだわり」、いくつもの全国大会への切符を手に入れる為には、毎日の継続が欠かせません。
「練習は裏切らない」、この言葉に尽きると思います^^
吹奏楽を通して音楽以外で学んだこと
吹奏楽を通して学んだこと、次は音楽以外で3つ紹介します。
- レギュラー争いの厳しさ。
- 日々の練習はもちろん、行事の時の楽器積み込みやセッティング、アンサンブルの入れ替わり時間まで、タイマーで時間を計る時計係。
- 先輩や目上の方への礼儀やマナー。
特に、あらゆる場面で登場する時計係には、正直「ここまでするの?」と驚かされました!
レギュラー争いの厳しさ
これはもう強豪校ゆえの、避けては通れない道。
当時私が在籍していた頃でも母校には約160名の部員がいたので、もちろんレギュラー争いがありました。
- 高校の吹奏楽部が一番に目指すべき、メインの大会(コンクール)に出場できる人数は55名。
- 入部したての1年生はまずマーチングに取り組むので除外され、2・3年生の約100名から、コンクールメンバーの55名が選ばれる。
- 選考方法はオーディションで、選考基準に学年は関係なし。
2年生でも上手ければ選ばれるし、3年生でも上手くなければ選ばれません。
1年生だった頃は、音楽室から聞こえてくる先輩方の音に、ただひたすら憧れを抱いていました。
3年生なんて、まさに雲の上の存在。
コンクールとマーチングでは練習メニューも違うので、練習後のミーティング以外では顔を合わせることもほとんどありません。
もちろん3年生から話しかけてくれなければ、自分から声をかけることもできませんでした。
そしてそれぞれが支部大会を勝ち抜き、東関東代表に。
3年生メインのコンクールメンバーは「吹奏楽の甲子園」と呼ばれる全国大会へ、1・2年生だけのマーチングメンバーは、マーチングの全国大会への切符を手にしました。
自分たちの練習があるので、先輩方のコンクールを聴きに行くことはできなかったけど。
大会当日に手伝いで行ったマーチングメンバーから、全国大会本番前の舞台袖で、トランペットの3年生が1人、メンバーから降ろされた事を聞きました。
当時のトランペットパートには、3年生が4人と2年生が4人。
そのうちの6人(3年生4人と2年生2人)が、コンクールメンバーに選ばれていました。
けれど当日本番前の舞台袖で、3年生の1人が落とされたとのこと。
2年生の2人が選ばれたのに、です。
理由は明確で、選ばれた2年生の2人は小学校からの経験者、落とされてしまった3年生は高校から始めた初心者でした。
その3年生は、その場でしばらく呆然として、袖から下がった後に号泣したそう。
パートが違うのでほとんど話したことはなかったけど、その先輩の顔を思い浮かべて、何とも言えない気持ちになりました。
強豪校ゆえの厳しさを、痛感した出来事でした。
全国大会に出場するからには、目指すのはもちろん「ゴールド金賞」です。
勝負の世界の厳しさを、そして自分もそういう道を選んで強豪校に入ったのだと、改めて思い知ることになりました。
時計係の徹底した時間計測
母校の吹奏楽部は、当時でも約160名の大所帯。
何をするにも団体行動なので、それぞれの役割を持ったたくさんの係があります。
部長を頂点にして、副部長、セクションリーダー、統制、行事、管理、運搬、楽譜、会計、広報、時計、コスチュームなど。
そうそう、金魚にエサをあげる金魚係もあったよ!(笑)
その中でも、私が特に驚いたのが「時計係」です。
時計係の仕事は、タイマーでの時間計測。
以下のように、活動中のあらゆる時間をタイマーで計ります。
- 日々の練習や、後片付けにかかった時間。
- 大会やイベントなど行事に出かける際の、楽器の運搬・トラックの積み込み作業にかかった時間。
- コンサートリハーサル中には、椅子や譜面台を並べるセッティングにかかった時間や、アンサンブルメンバーの入れ替わる時間。
日々の練習後の片付けは、10分以内にすべて終わらせるのが基本。
練習時間終了に音楽室前の廊下で部長が「終わり~!」と叫ぶと、そこから嵐のような10分間が始まります。
体操服やコスチュームから制服に着替え、楽器や譜面台を片付けて準備室へ運び、使った教室やホールを掃除して、最後に1~3年生全員が音楽室に戻るまでを、10分以内に終わらせるのが目標です。
10分を過ぎた場合は、その原因を探し出し、翌日は10分以内に終わるように反省会をします。
10分を過ぎてしまう原因は、たいていが下級生。
常に音楽室にいて制服姿でコンクール曲を練習するコンクールメンバーと違い、音楽室から遠く離れた外や別棟にいてジャージ姿で練習している1・2年生には、この10分はかなりの難関です。
でも、上級生も過去に通ってきた道。
できないはずがないことを、身を持って知っています。
そして1年生が余裕でこの10分をクリアできるようになる頃には、マーチングの大会で県代表に選ばれて、強豪校の部員としての自信を持てるようになっているのです。
大会やコンサートなどのイベントでは、たいてい出演時間が決まっています。
大会では、演奏時間をわずかでも過ぎたら即失格。
イベントでも、演奏時間やセッティング時間が遅れると進行に迷惑をかけてしまうし、何より聴きに来てくれた人たちを飽きさせてしまうことになります。
それらすべてを想定した、部員数が多いからこその時間計測。
部員全員がスムーズに演奏に入る為に、日頃から常に時間への意識を持つことが大切なのです。
そしてその積み重ねはやがて、本番での最高の演奏演技へと繋がります^^
先輩や目上の方への礼儀やマナー
強豪校と呼ばれる学校が、先輩や目上の方への礼儀やマナーに厳しいのには、理由があります。
理由1つ目は、強豪校ゆえに部員数が多いこと。
部員全員がコンクールメンバーに選ばれるわけではなく、3年生メインの精鋭部隊が学校の代表として「吹奏楽の甲子園」に挑みます。
すると、下級生は上級生への憧れと尊敬の念を込めて、自然と敬語で接するようになるのです。
理由2つ目は、部員全員が常に強豪校の一員として見られていること。
メインの大会に出場するコンクールメンバーに選ばれなくても、1・2年生もマーチングの大会に出場します。
当時マーチングの大会に1・2年生だけで挑み、全国大会に出場して金賞をとる学校は、ほとんどなかったはず。
でも大会に出れば学校の名前がついて回るので、常に言動を注目されているのです。
さらに強豪校ともなると、会場の受付やドアマンなど大会の運営を頼まれることも多く、一般の方とも接する機会がたくさんあるので、きちんとした言葉遣いができるのも当たり前です。
その他にも、いつも応援してくださる地域の皆さまや後援会の方々へ、お礼状を書く機会もあります。
年賀状や暑中見舞いも特に決まった文章がある訳ではなく、自分の言葉で丁寧に感謝の気持ちを手書きします。
こんなこと、普通の高校生は経験しませんよね(笑)
強豪校だからこそ、先輩や目上の方への礼儀やマナーが自然と身についていきます。
そしてそれは、大人になった時に必要不可欠なもの。
母校にいて自然に身についたおかげで、社会人になってから今まで、礼儀やマナーで一度も注意を受けたことはありません。
吹奏楽を知っている人には、高校名を告げただけで「なるほど、やっぱりさすがだね」と言われることも。
上級生から下級生へ、毎日一緒にいる中で確実に受け継がれていく母校ならではの伝統があり、学校の名をさらに大きくしているように感じます。
強い憧れを持って入部して、強豪校の一員として3年間活動している時はもちろんのこと、こうして卒業後何年も経った今でも改めて、母校の凄さを実感しています。
吹奏楽を通して学んだことが、本当にたくさん。
そして、私が一番吹奏楽を通して学んだことは「仲間の大切さ」です。
強豪校新入部員へ送る心からのエール!
ここからは、強豪校に入部したばかりのあなたへのエールを込めて、吹奏楽を通して私が1番学んだことを伝えていきたいと思います。
私が1番学んだもの、それは「一生モノの仲間と過ごした3年間」です。
当時の3年間は、家族よりも仲間と過ごした時間の方が多かったし、特に同学年のホルンパートの3人とは、本当に飽きるくらいずっと一緒でした(笑)
意見がすれ違う時は何度でも話し合いを重ねて、お互いを認め合って、3年間同じ道を一緒に歩いた大切な仲間たち。
それは全国大会での「ゴールド金賞」でさえも霞んでしまうほどの、『一生モノの仲間』でした。
全国大会の「ゴールド金賞」と「グランプリ」はご褒美
強豪校へ入学した時の私は、吹奏楽経験者としてもっと上を目指したいという、強い思いがありました。
それはズバリ「全国大会で金賞をとる」こと!
全国大会で金賞をとる為に、母校に入学したと断言できるよ!
でもあんなに必死になって、時には泣きながら練習して掴んだ全国大会の金賞もグランプリも、振り返ってみれば、ただのオマケでした。
毎日の厳しい練習が実を結んだ、ひとつのご褒美に過ぎなかったです。
全国大会の表彰式で「ゴールド金賞!」「グランプリ!」と母校の名前を呼ばれた時は、『この瞬間の為に頑張ってきたんだ!』と、確かに実感したのに。
あの時の喜びや達成感を、今でもはっきりと覚えているのに。
それらが霞んでしまうほど、大切なものがありました。
ちなみに「ゴールド金賞」とは、吹奏楽の大会ならではの言葉です。
上位大会に進む為にまずとらなければならない「ゴールド金賞」について、このページで詳しく説明をしていますので、良かったら読んでみてくださいね。
一生モノの仲間とのかけがえのない3年間
「ゴールド金賞!」も「グランプリ!」も霞んでしまうほどの、大切なもの。
それは、家族よりも長い時間を一緒に過ごした、仲間との3年間の日々です。
一生モノの仲間の大切さ、それが吹奏楽を通して私が一番学んだことでした。
遊びも全力で楽しむ
吹奏楽は、団体戦です。
個人がどんなに上手くても、それだけでは全国大会には行けません。
部員全員の音を合わせるには、心をひとつにすることが大切。
みんなの心をひとつにする為に、強豪校は遊びにも全力で取り組みます!^^
フレッシュコンサート
春に新入部員が入るとまず開かれる「フレッシュコンサート」は、新1年生が初めて学校で演奏を披露する機会です。
もちろん新1年生の親御さんもご招待して、フレッシュコンサートの後は、パートごとに分かれて1~3年生全員で焼肉パーティー♪
みんな揃っての初めての行事は、新1年生の歓迎会でもあり、パートごとの決起集会でもあり。
このフレッシュコンサートを終えると、新1年生もいよいよ大会への練習を開始、強豪校の一員として本格的に始動します。
さつま芋を収穫して「芋パーティー」
そして秋、3年生メインのコンクールメンバーも、1・2年生のマーチングメンバーも、それぞれが東関東大会を勝ち抜いて、全国大会への練習に励む頃。
5月にみんなで植えたさつま芋が、収穫の時を迎えます。
ジャージ姿で土まみれになってさつま芋を掘り起こしたら、
部員みんなで「芋パーティー」ニャ♪
高校生にもなってさつま芋を植えるなんてと、それはそれでビックリだったけど、これも母校流の楽しみ方のひとつ^^
夏休みから毎日厳しい練習を重ねてきた部員にとって、「芋パーティー」はホッと一息できる場でもあり、全国大会へ向けて、みんなの気持ちをひとつにする場でもあります。
ここから冬にかけて、全国大会や定期演奏会など大きな行事が目白押し。
芋パーティーで1~3年生がまた心をひとつにして、3年生の引退まで一気に走り抜けるのです。
校内で一斉に豆まき
1年間の集大成になる12月の定期演奏会が無事に終わり、3年生が引退して代替わりすると。
来年度のコンクールに向け、しばらくは1・2年生だけで、基礎練習を繰り返す日々が続きます。
そんな時に訪れるのが、2月の節分。
ひとりひとり作った鬼のお面で、誰が一番上手かコンテストが開かれ、節分当日は校内で豆まきをします♪ (豆まき後は、もちろんちゃんと掃除します!)
音楽室に留まらず廊下へも飛び出して、鬼に向かって一斉に豆まき!(笑)
節分の豆も、一気に当てられるとけっこう痛いみたいです(;´∀`)
恥ずかしいことに、作った鬼のお面は音楽室に飾られるので、一般生徒の視界に入ることに(笑)
そうして、春に新1年生が入部してくるのを楽しみに、また練習に励みます。
強豪校はひたすら練習に明け暮れているかと思いきや、そんなこともなく。
オン・オフを分けて、遊ぶ時も全力で楽しみます♪
こうして時に遊びも入れながら、仲間との絆を深めて心をひとつにしていくのです。
家族よりも一緒に過ごした仲間
「ゴールド金賞」も「グランプリ!」も霞んでしまうほどの、一生モノの仲間に出会えたこと。
これこそが私が一番、吹奏楽を通して学んだことでした。
一生モノの仲間とは、もちろん同期のみんな、そして特にホルンパートの3人。
入部してからはいつも一緒で、家族よりも長い時間を一緒に過ごした大切な仲間です。
そう思えるきっかけとなった私の体験談を、2つ紹介します。
休部中に届いた仲間からの手紙
強豪校で過ごした3年間の中で、私は一度、耳の病気で数週間休部しています。
1年生の頃の2月、オフシーズンとはいえみんなが一生懸命練習しているのに、自分は楽器を持つことさえできなくて、焦りと不安で憂鬱な毎日を過ごしていました。
そんな時に届いたのが、部員全員からの手紙。
同期だけでなく1つ上の先輩からも、さらに顧問の先生方からもありました。
「きっと良くなるから、また一緒に練習しようね! 待ってるよ!」
「ベートーヴェンだって、聞こえなくても作曲できたから大丈夫!」
などと、先輩と同期みんなからの、励ましの手紙でした。
100名近い部員全員からの手紙だったので、読むのもひと苦労(苦笑)
ベートーヴェンと比べるのも、どうなの…?(;´∀`)
でも私を忘れずにいてくれたことが、そして「待ってるよ!」と言ってくれたことが、ただただうれしかったです。
大人しく治療に専念しようと思えたのも、その手紙たちのおかげ。
間違いなく、あの頃の私の支えになってくれました。
一生モノの仲間からの100通もの手紙は、今でも大切に保管しています。
コンクールでもマーチングでも仲間は仲間
耳の病気での数週間の休部から復帰して新年度になると、私は2年生のホルンパートの中でひとり、コンクールメンバーに選ばれました。
1つ上の先輩に妹のように可愛がってもらっていたので、一緒に全国を目指せるのはうれしかったし、やる気も満々でした。
けれど、さすがは3年生メインのコンクールメンバー、1年の差は大きく、足を引っ張ってしまうことが何度かありました。
でも先輩の前で弱音を吐くことはできず、同期とは練習メニューが違うので時間も合わず。
それに1年生の指導に忙しい同期に弱音を吐くのは違うともわかっていたので、ひとり残って練習しながら泣いたこともありました。
それに気づいてくれたのが、同期のホルンパート3人。
泣いている時は放っておいて、落ち着いて練習を再開した頃に声をかけてくれました。
「私たちの代表として、思い切ってやればいいよ!」
「来年の予行練習だと思ってさ、今年は失敗したっていいじゃん!」
3年生に聞かれたら怒られそうな言葉で、励ましてくれました(笑)
「目指しているものがコンクールでもマーチングでも、一緒に練習していなくても、私たちは仲間だから」
同期からのこの言葉は、今でもはっきりと耳に残っています。
吹奏楽は団体戦なので、ひとりではできません。
個人がどんなに上手くても、それだけでは全国大会には行けません。
私の体験談以外にも3年間でたくさんのことが起こって、大会前にみんなの気持ちがまとまらないこともありました。
でも何か問題がひとつ起こるたびに、パートまたは同期のみんなで、それでもダメなら部員全員で話し合って、ひとつひとつ解決してきました。
3年間家族よりも長い時間を過ごして、一緒に歩き続けたみんなは、一生モノの仲間であり友達です。
厳しい練習に耐えられたのも、みんながいたからこそ。
そんな仲間とだからこそとれた、全国大会の「ゴールド金賞」と「グランプリ」は、わたしとっては最高のオマケです。
辛くても諦めない心の強さや、仲間を思いやる気持ち。
音楽のことはもちろん、人として大切なことを、この3年間で学びました。
卒業して20年以上が経つけど、何かに迷った時や苦しい時、重い決断をしなければならない時など、人生の岐路に立つ時には必ず、あの3年間の日々を思い出します。
そして同時に思い出すのが、一緒に歩いていた仲間たちのこと。
今の自分の姿を見せたら、みんなはどう思うかな。
私はみんなに、今の自分を誇れるだろうか。
家族よりも長い時間を過ごし、一緒に泣き笑いした仲間たちの顔を思い出して、また前を向いて歩き出します。
2年前に母校を卒業して音大で頑張っている姪っ子は、今でも月に一度は、ユーフォパートの同期の子たちと会っているのだそう。
私の場合は引退してもう20年以上経っているから、そう頻繁には会えないけど。
あの頃のみんなの笑顔が、いつも自分の背中を押してくれているような気がします。
強豪校での新しいスタートを切ったあなたも、きっと一生モノの仲間に出会えるはずです。
仲間と過ごす日々は、辛いことは少しずつ分け合って小さく、うれしいことは人数分だけ何倍にも大きくなります^^
辛いこともうれしいことも、みんなで1つずつ乗り越えて行ってくださいね^^
吹奏楽を通して学んだことのまとめ
今回は「吹奏楽を通して学んだこと、強豪校新入部員へ送る心からのエール!」について、記事を書いてみました。
全国大会常連の強豪校に通っていた私が、吹奏楽を通して学んだことは、大きく分けて4つです。
- 音楽面で学んだことは、「美しい音を出すには環境を美しく整えること」、「ハーモニーディレクターを使った妥協しないチューニング」、「カチカチで音符の長さを正確に捉えること」の3つ。
- 音楽以外で学んだことは、「レギュラー争いの厳しさ」、「日々の練習や楽器の運搬、コンサートの進行まで徹底した時間への意識」、「先輩や目上の方への礼儀やマナー」の3つ。
- 全国大会での「ゴールド金賞」「グランプリ」は、日々の厳しい練習が実を結んだ最高のご褒美であること。
- 金賞やグランプリがオマケだと思えるほど、家族よりも一緒に過ごした仲間との3年間は、かけがえのない一生モノの宝物であること。
吹奏楽を通して学んだことは、音楽的なことだけではありません。
目上の人への礼儀やマナー、仲間を思いやる気持ちなど、人として大切なことはすべて、この3年間で学びました。
母校の校歌には、「歩き続けよう 人生で一番の輝きの時」という歌詞があります。
一生モノの仲間たちと過ごした3年間は、まさに「人生で一番の輝きの時」でした。
人生の長さに比べたら、3年なんてほんのわずかな時間。
でもあの3年間があるから、自分はこれからもブレずに、前を見て歩いて行けると確信しています。
強豪校に入学して、新たな吹奏楽の道を歩き始めたあなたにとっても、これからの3年間がそうであって欲しい。
そう願って、心からのエールを送りたいと思います!^^
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